星空の生家

私は、広い庭をのんびり散策して歩いていた。生家のすぐ近くに小川が流れていた。

昼間は鱒が忙しそうに泳ぎ、夜には蛍が川べりに歌を歌い、川面には夜空の満点の星が映っ

たのであろう。

木々が風に吹かれる音や空高く響く小鳥のさえずり、澄んだ空気を肌で感じながら私はゆっ

くりと進む。

そういう所に彼は天から降りて来たのだ。きっと夜空には彼の星座の魚座が泳いでいたので

あろう。

私は想像しながら歩いていたら時間を忘れそうになり、ふと腕時計を見ると時計の針が正

午を指そうとしていた。

はっと我に返り、私は少し足を速めて門のほうへ戻る道を辿った。

門の外でフレデリックが車の横に立って待っていた。

「お昼はこの近くのレストランへ行きましょう」フレデリックはクールに言った。