拍手

その日の私は聴衆としてホールに座った。

演奏者の気持ちになって聴くのが私の聴き方だ。

演奏するときは逆に聴く人の気持ちを考えるのが私のポリシーだ。

その日のコンサートは申し分のない演奏だった。

聴衆の拍手でホールは包まれ、私の手も拍手で痛いほどだ。

曲の最後の音が消えるまでとその余韻の間、そのあと続く拍手のすべてがひとつの音楽となり演奏会が成功したかどうかが決まる。

感動的な演奏は次の日も心に残り、そして記憶にいつまでも残る。

私もそんな演奏を目指したい。