肘掛椅子が置かれている

目立たない隅に目をやるとそこには色褪せた鶯色の肘掛け椅子が置かれていた。

それは、まだ主人を待っているかのようである。

じっと眺めていると私は座ってみたい衝動に駆られる。

椅子の座り心地は見た限りでは、固くも柔らかくもない。

この椅子に座って何を思ったのであろうか。彼の華奢な姿が浮かび上がるようであった。