2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

懐かしい気持ち

動物園のゲートのような門の前で私は車から降りた。 「自由に観て来てください」フレデリックが淡々と言った。フレデリックは庭を散歩するか のように別の方向へ歩いて行った。 この門を潜ると生家があるのだなと私は期待に胸を弾ませた。しかし門を潜っても…

2018.10.29 23:29 生家は何処に

延々と続くポプラ並木きを抜けると野原の風景が気が遠くなるほど続き私は疲れた。 道端に車を止めてもらい、私は車から降り立ち深呼吸すると、そこはワルシャワ市街とは空 気が違ってひんやりとしていた。少しの間、その澄んだ空気を味わっていると、 「そろ…

2018.10.28 22:48 生家へ

彼の生家は車でワルシャワ市内から1時間半。運転手は20代のポーランド人の青年。青年の 名前はフレデリック。フレデリックの髪の色は金色、瞳の色はブルー、そして肌の色が陶器 のように白く光りに透けて金色の産毛が透明に光っていた。 フレデリックの運転…

パリかワルシャワか

彼のピアノは展示室のフロアーの目立つ中央に置かれていた。 それはパリで観た部屋を再現しているが印象は全く違っていた。それでも床の美しい模様は 忠実と言えないこともない。 そのピアノは彼が最後に弾いていたものである。彼はパリのその部屋で最後の日…

パリかワルシャワか

彼のピアノは展示室のフロアーの目立つ中央に置かれていた。 それはパリで観た部屋を再現しているが印象は全く違っていた。それでも床の美しい模様は 忠実と言えないこともない。 そのピアノは彼が最後に弾いていたものである。彼はパリのその部屋で最後の日…

肘掛椅子が置かれている

目立たない隅に目をやるとそこには色褪せた鶯色の肘掛け椅子が置かれていた。 それは、まだ主人を待っているかのようである。 じっと眺めていると私は座ってみたい衝動に駆られる。 椅子の座り心地は見た限りでは、固くも柔らかくもない。 この椅子に座って…

Łydliwość

仮面の横には遺髪が並べてある。遺髪を観た時、彼は遺髪の長さが30㎝は超えている。 髪は成長するので、その月日を思うと、その髪の先端はマヨルカ島の頃のことかもしれないと感じた。その毛の色とその質感は柔らかくもあり激しくもあり、その髪を思うと作…

1849年10月17日没その仮面

私はショパンのデスマスクの前に立っていた。 自然と博物館へ足が向かったからだ。 博物館のきれいなガラスのウィンドウの向こう側に険しい顔の白いその仮面は飾られていた。 ショパンはポーランドの誇りと財産である。 ガラスケースに飾られた仮面は老人の…

聖十字架教会

ショパンの身体はパリの墓地にあり、ショパンの心臓はワルシャワにあり、私はショパンの身体と心臓が分かれているいることについて考えていた。 ショパンは遠く離れた故郷のポーランドを想う心がいずれにあるか私は確かめたくて聖十字架教会を訪れました。 …

88鍵の音色

クラシンスキ宮殿 ワルシャワに到着して、旧市街地をおとずれると当時の佇まいを思わせる場所にであえます。その場所の雰囲気はなにかを 私に語り掛けてくるというそんな場所です。建物の壁それにあたる光の印影までも想像を膨らませるに十分な材料になりま…