のりもの

私がワルシャワ市内を歩いているとき、

路面を走る特徴のある のりもの に出会った。

連結されたその のりもの は、道路を滑るように数両走り抜けていた。

ワルシャワ市民の多くが日常的に利用するトラムである。

日本では路面電車が姿を消してゆく地域があるが、

やはり軌道を持った のりもの は、独特の風情を醸し出し街に似合う気がする。

ちょうどトラムの停車場が近くにあった、タイミングよくトラムが停車したので、私は子供のような気分で駆け寄って乗車した。

私はワルシャワの市電に乗って、その揺られ具合にワルシャワの市民になった気分を味わった。

次の停車場でトラムが停車すると、御婆さんが雑種犬を連れて乗って来た。

おやおや、犬の料金を払うわけでもなく、人間と同じように普通にしているではないか。

そこは日本とは違ってゆるやかである。なんだか和む。

私は、トラムの席に座り、窓から街の移り変わる建物や行きかう人々の表情を眺めた。

ワルシャワの人々の日常に触れることが出来てとても印象に残る乗車になった。